令和6年新年互礼会を開催しました(1月4日)
今朝の榊理事長の新年のご挨拶は、機構そして両大学の世界への貢献という高いお立場からのご発言でした。教育について南アフリカのマンデラ大統領、女性のリーダシップについてドイツのメルケル首相を例として挙げられました。大学は人材育成によって、世界の中でとても大切な使命を持っていることを再認識しました。
教職員の皆さま、新年互礼会に当たって、私からいくつかお伝えし、お願いすることがあります。
まず、1月1日に発生した令和6年能登半島地震についてです。マグニチュード7.6の大地震です。奈良でも体感するほどの大きな地震でした。本学は全国から学生が集まりますので、福井・石川・富山・新潟・岐阜県と広範囲に震災があったことが心配です。特に石川県は被害も大きく、毎年多くの学生さんが入学していますので心配です。被災された皆様にお見舞い申し上げます。
次に、新型コロナウイルスについてです。新型コロナウイルスは令和5年5月8日から5類感染症になりました。現在まで4年間影響を受けました。今春の卒業生はその影響を最も受けた世代で、友人を作る機会が少なかったのではないかと心残りです。現在は少し落ち着きましたが、インフルエンザが流行しています。共通テストは気を付けながら進めたいと思います。これまで通り、基本的な感染対策の徹底をお願いします。
物価高、光熱費の高騰、そして人事院の急激な賃上げ勧告が大学経営に深刻な影響を与えています。皆様にご迷惑をおかけしますが、昨年に続き後3か月、そして来年度も緊縮財政になります。入学者の増加や組織改編を含めてなんとか知恵を出し合って乗り越えて行きたいと思います。よろしくお願いします。
昨年10月16日に、奈良県下の
産地学官プラットフォーム第1回総会を開催しました。奈良国立大学機構が働きかけ、実際に動き始めました。昨年奈良県の県知事の交替がありました。 山下新知事との関係も良好です。地域と大学の関係は今後よりいっそう重要になります。これは少子高齢化問題を深刻な問題として、行政も大学も考え始めて、協力をしないと乗り越えられないという共通認識があるからです。大学が社会の中心となって、その行く末を先導することが求められています。教育と研究という大学本来の力を使って、社会を先導することを意識していただきたいと、お願いします。
少子化問題は教育機関である大学にとって大きな問題で、しかも将来がはっきりしています。2023年の出生数は73万人弱と予想されています。2022年に80万人を切った直後でこの数字は厳しいです。18年後にはその影響がはっきりと出てきます。その対応策として考えられるのは、留学生の増加と社会人の増加です。世界の人口は増加しているのですから、留学生の増加は努力次第です。日本語という言葉の壁をどう突破するか、大学の魅力をどう上げていくか、日本での就職をどのように支援するかが課題です。私は女子大学の魅力を主張して、世界から女子学生が集まる可能性に期待しています。社会人については、 リカレント教育というのが方向性です。リカレント教育を教育課程にどのように取り込んでいくかが課題です。留学生も社会人も信用が大切で、信用作りには時間がかかります。ご協力をお願いします。
続いて、研究というテーマについて、先生方に理解して頂きたいことがあります、それは「公的資金を受けた学術論文等の即時オープンアクセス(OA)の実現」という動きです。学術論文を書くとき、即時に誰でも読めるようにするという事です。国の方針で、義務化の方向ですので留意してください。また、研究データの公開も同時に進んでいます。生成AIとの関連で論文の書き方が大きく変わる時代が来ていると感じています。
最後ですが、附属学校園にとってこれからの1年は、とても大きな1年になります。第4期中期目標期間の3年目つまり令和6年度に外部評価を受ける計画になっています。法人統合をした奈良教育大学の附属学校園との関係を含めて、整理し、将来ビジョンを策定し、外部評価を受ける必要があります。今の大学のミッションはSociety5.0と呼ばれる日本の未来社会を大学が地域社会と共に設計し構築することです。現在とは明らかに違う情報に軸足を置く未来社会で活躍する人材を育成するために、令和の日本型学校教育と呼ばれる教育へのシフトが進行中です。「揃える教育から伸ばす教育へ」と変化する新しい教育法を初等・中等・高等教育の各レベルで推進する時代を迎えています。本学の附属学校園は「揃える教育」の時代から「伸ばす教育」を進めてきたわけですが、これからは時代の本流として日本を牽引することが求められます。私は、最重要課題の一つと考えています。
以上です。最後になりますが、教職員の皆様の健康を祈念して年頭のあいさつとします。今年もよろしくお願いします。
令和6年1月4日
奈良女子大学 学長 今岡春樹